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市原悦子さん亡き夫の言葉に救われた「子どもがいない人生だってある」「望まれるものはすべてやって」

グリーフケアカウンセラーの日高りえです。

2019年1月12日、82歳で市原悦子さんがお亡くなりになりました。
私が大好きな女優さんです。なんとなく私の母のイメージもあるのかな…。
好きな女優はと聞かれたら、市原悦子さんと答えていたんですよね。
なので、テレビだけでなく舞台や朗読劇なども観に行ったことがあります。独特の世界観を持っていてすごかったです。圧倒されました。

テレビではもちろん、「家政婦は見た」「おばさんデカ」が大好きでした。
子どもの頃は、「まんが日本昔ばなし」を毎週楽しみに見ていましたし、放送が終わった後も、テレビでこの番組を紹介することがあったときには、必ず手を止めてみていました。

市原悦子さんはこれまで2度の流産をされ、それを救ったのは夫からの言葉だったそうです。
夫で演出家の塩見哲さんの「子どもがいない人生だってある」という言葉。

その言葉にすごく救われた。じゃあいいのかなって思ってそんな人生もあるのかなって。
子どももできなくなって、あー自分にもできないことがあるんだなって。だからこそできるものを探そうと思った。

そうして出会ったのが「まんが日本昔ばなし」なんですね。

 

市原悦子さんの自叙伝「白髪のうた」
およそ60年の役者人生を振り返る中で、最愛の夫 塩見哲さんへの思いもつづられています。

自叙伝を出版する3年前にがんを患い肺炎で亡くなった塩見さん。

決意したのが夫の前でも女優でいること。最後までものすごく冷静に日常のように接した。
これでもうお別れだと絶対に気づかせないように日常でいること取り乱さないこと、それも演技だわ。

最愛の夫にできる最善のことを、市原悦子さんはされていたんですね。

そして夫の死後、市原悦子さんは生きる気力を無くし、1年ほどは仕事が手につかなかったといいます。
そんな市原悦子さんを救ったのは、やはりかつて塩見さんに言われた言葉。
「望まれるなら精一杯やって」

「これをやってください」と言われることがあると、塩見さんの言葉が全部蘇ってきたそうです。

そうして出演された映画「あん」。「あん」は樹木希林さんの最後の主演作です。その親友役として出演されています。
ドラマの中での主人公が、市原悦子さんと同じ八重桜の樹木葬を選んだことに深く感銘を受け出演を決めたそうです。

望まれるものはすべてやって、そうやっているうちにだんだん火がついてきたの。

自叙伝「白髪のうた」のタイトルに込めた思いを市原悦子さんはこう語っています。

この題名はこれからの人生、髪の毛を染めずに白髪で生きようと決めたわたしの思いを込めました。
人生寂しいのは当たり前、でもすがすがしくありたい。

人生寂しいのは当たり前…。老い、孤独、そんな思いもつまっているのかもしれません。

大好きだった市原悦子さん、ご冥福をお祈りいたします。

日高りえ

 

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